互いに実力を認め合ってきた菅氏(右)と枝野氏(写真は2018年7月)(読売新聞/アフロ)

長らく続いた「安倍1強対多弱野党」に代わる新たな政治構図が確定した。7年8カ月にわたり長期政権を担った安倍晋三首相の跡を、一貫して官房長官を務めた菅義偉衆議院議員(71)が継ぐ。また枝野幸男代表(56)が率いる立憲民主党が国民民主党と合流し、部分的にだが分立を解消、「菅政権」と対峙することになった。

マスコミ各社の世論調査によると、菅氏の支持率は予想以上に高いうえ、国会では日本維新の会が協力姿勢を示しており、「安倍1強」が「菅1強」に移行する可能性もある。であればなおさら、大規模金融緩和の副作用、進展しなかった北方領土交渉、北朝鮮による日本人拉致問題、森友・加計学園問題など、安倍政権から相続することになる「負の遺産」に菅政権がどう向き合うのかが問われなければならない。

枝野氏は、次期衆院選挙で打ち出す家計支援策について、「低所得者への配慮と消費の喚起には、消費税率を引き下げるかゼロにするというアプローチが1つだ」と述べ、消費税減税を選択肢の1つだと表明した。これに対し、れいわ新選組の山本太郎代表が「ゼロも含めて減税という発言があったので、折り合いがつけられそうだ」と語り、次期衆院選での共闘に含みを持たせた。

野党分立の度合いをさらに改善する可能性があるが、かつて社会像が違うとして連携してこなかった共産党とどういう関係を築くのかという最も難しい課題が残る。政策の目玉である原子力発電所ゼロの裏付けとなる代替エネルギーの提示をしなければならない。また、菅氏が継承するとしたアベノミクスとは違う経済政策の選択肢を具体的に示す必要がある。

与野党共に、安倍1強で繰り広げられた、臭い物にふたをしたり、相手を批判・攻撃することで抱える問題から目をそらさせたりするような不毛な戦いから卒業する時である。