(freeangle / PIXTA)
週刊東洋経済 2020年9/12号
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事業承継はすべてのオーナー経営者にとって避けられない問題だ。自分がこれまで育ててきた会社の価値をいかに残すか。資産をいかに引き継ぐか。そして、一緒に頑張ってきた従業員たちをいかに守るか。こうした課題のすべてが事業承継の巧拙に関わってくると言っても過言ではない。

今はまだ引退を考えていない経営者でも、いつかはその問題に直面する時が来る。であれば、早い段階から計画を立て、ベストなタイミングで最良の選択をすることが重要だ。

とはいえ、これまでまったく考えてこなかったという経営者も少なくないだろう。そこでパート2では事業承継のタイプ別に、お得に会社を引き継ぐノウハウやマル秘テクニックを徹底解説していく。知識を身に付け、上手に事業承継を行ってほしい。

「承継のラストチャンスがやってきた」。親族内承継を進めている60代の中小企業社長は、新型コロナウイルスの影響で落ちていく売り上げを見ながら、そうつぶやいた。

この社長が事業承継を始めたのは、10年くらい前のこと。リーマンショック以降に業績が悪化、株価が低くなって贈与税を抑えることができると考えたからだ。

ただ、当時は自身も子どもも若く、引き継いだのは株式の一部のみだった。その後、業績が回復し払いきれないくらい贈与税が膨らんでしまったため、いったんストップせざるをえなくなった。

そこにコロナがやってきた。会社にとっては苦しい状況でも、事業承継にとっては追い風だ。詳しくは後述するが、承継する資産の評価額を下げることができるためだ。こんなタイミング、次にいつ来るかわからない。引退の年齢も考慮すれば、残った株式を動かすラストチャンスというわけだ。

親族内で“お得”に事業承継をするために、まず検討すべきは株式を相続したり贈与したりする際の税金をいかに少なくするかだ。

実は、事業承継を進めたい国もその点について理解しており、とっておきの手を用意してくれている。2018年度の税制改正で導入された「事業承継税制の特例措置」だ。

相続・贈与税がゼロに