当事者にしかわからないシビアな悩み、がん患者・家族のリアル PART1 がん患者学の基礎

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仕事、家族、お金など、治療以外でも十人十色の悩みを抱えている。

「毎年の健康診断ではいっさい問題なかった自分が、まさかがんとは驚きだった」

岐阜県在住の団体職員、大東篤史さん(46)はそう振り返る。発見につながったきっかけは、今から10年前の秋、右脇腹に感じた違和感だった。かかりつけ医に相談して血液検査などを行ったが異常はない。

昨年フルマラソンで2時間53分台を出した大東篤史さん

だが、その後も断続的に違和感が続くため、頼み込んで地元の総合病院でCT(コンピューター断層撮影)検査を行ったところ、左の腎臓に腫瘍が見つかった。MRI(磁気共鳴断層撮影)による精密検査を経て、8〜9割の確率で腎臓がんだと告げられた。2011年3月、37歳の若さでのことだ。

違和感があったのは、右脇腹だったが、腫瘍があったのは左の腎臓。つまり、こと腫瘍に関しては、症状も違和感もいっさいなかった中で見つけられたのは、「不幸中の幸いだった」(大東さん)。

くしくも大東さんの父親は37歳のときに、胃がんで亡くなっている。当時小学1年生だった大東さんにとって、がんは不治の病とのイメージが植え付けられた。父の亡くなった年齢に近づいた35歳ぐらいから、多少なりともがんを意識するようになったという。

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