世界の製薬会社が新型コロナウイルスのワクチン開発を競う中、関連産業では生産能力の大幅な引き上げが喫緊の課題になっている。

製造したワクチンを入れるガラス製の容器もその1つだ。ホウケイ酸ガラスと呼ばれる特殊なもので、化学的に安定しているため中のワクチンに影響を与える心配がなく、耐水性、耐酸性に優れ、急激な温度変化や外部からの衝撃にも強い。

ホウケイ酸ガラスの製造には高度な技術が必要で、医薬用の特殊ガラス容器は独ショットのほか米コーニング、日本の日本電気硝子など少数の大手企業が高い市場シェアを握っている。このため中国の製薬会社は海外からの輸入に頼らざるをえない。

中国企業では、山東省薬用ガラスと正川医薬包装材料が医薬用ガラス容器の2大メーカーだ。しかしホウケイ酸ガラスの生産技術は依然立ち遅れている。山東省薬用ガラスは中国で初めてホウケイ酸ガラスの製造技術を会得したものの、生産能力は限られており、新型コロナのワクチン容器の受注はまだない。

「新型コロナのワクチンを世界に行き渡らせることができるのは2021年後半になるだろうが、そのときにはワクチン自体よりガラス容器のほうが供給のボトルネックになるかもしれない」。上海市の新型コロナ対策専門家チームを率いる医師の張文宏氏はそう懸念している。

(財新記者:于達維、原文の配信は7月31日)

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