(Zenzen / PIXTA)

免疫の働きをがん治療に生かせないか──。こうした、いわゆる「がん免疫療法」の考え方は1970年代からあるものだ。世界中で臨床試験が行われてきたものの、長らく有効性は確認されてこなかった。現在、自由診療で行われているような免疫療法にも臨床試験で有効性が確認されているものはない。

だが近年は従来の免疫療法とは別の、効果が期待できそうな新たなアプローチが多数登場。世界の大手製薬会社によって研究・開発が進められている。

では実際、免疫とがんはどのようなメカニズムで関わり合っているのか。現状では、その関係について何がわかっているのか。ウイルスや細菌に対する免疫反応とは

何が違うのだろうか。

そもそも、ヒトの免疫システムには大きく分けて自然免疫と獲得免疫の2つの仕組みが備わっている。ウイルスや細菌などに対する第1のバリアとしてまず働くのが自然免疫だ。

自然免疫は侵入してきた異物に対して素早く反応するのが特長で、異物を食べて殺すことが主な働き。好中球やマクロファージといった細胞が代表格だ。ウイルス感染やがん化した細胞を殺す働きをする細胞もあり、NK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれる。

また、侵入してきた異物の情報を周辺に知らせることによって獲得免疫のシステムが動き出すきっかけをつくるのも、自然免疫の重要な役割である。

この情報伝達の役割を主に担うのが、「樹状細胞」だ。樹状細胞は侵入してきた異物を自身の中に取り込み、目印になる情報を周囲の細胞に知らせる。この目印のことは「抗原」といわれるため、樹状細胞は「抗原提示細胞」と呼ばれることもある。

獲得免疫でがん治療狙う