「新型コロナウイルスの感染拡大によって、がんで死亡する人が増えるかもしれない」

医療関係者たちの間で交わされていた話が、現実味を帯びている。全国のがん検診が休止を余儀なくされ、ようやく再開しても、受診者は例年の半分程度。このまま検診の受診率が低迷していると、がんを早期発見して治療するタイミングを、逃してしまう可能性があるからだ。

ここで注意したいのは、国が推奨する「対策型がん検診」は、集団での死亡率を下げることが目的である点だ。コストや効率性も要求される。各個人のがんを発見する、という意味では、検査の精度は決して高いとはいえないのだ。

肺がんや胃がんの一般的な診断では、原寸大のフィルムにX線画像を撮影する。一方、対策型検診のX線画像は、10センチメートル×10センチメートルのサイズに縮小した状態で、ロールフィルムに撮影する。コストや効率性を優先した結果だ。このX線画像から、がんの疑いのある箇所を見つけ出す「読影」という作業を行う。

胃がんのバリウム検査は、1人8カット撮影する。1回の読影で100人分を超すことも珍しくないから、全800カットという膨大な画像データになる。これを流れ作業で読影するので、当然、ミスが起こりやすい。2人の医師が読影するダブルチェックが基本だが、見落としがたびたび起きて、問題となっている。