たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーを務める(撮影:梅谷秀司)

新型コロナウイルス感染が世界中に広がった3月以降、半年にわたってほぼノンストップで上昇を続けてきた金相場に変調の兆しが見える。

8月7日に1オンス当たり2089ドルという取引時間内での史上最高値をつけたが、そこをピークに利益確定売りに押されて下落、11日には1911ドル、12日には1864ドルまで急落、4営業日での高値と安値の値幅が225ドル(約11%)まで拡大した。半年に及ぶ一本調子の上げ相場でたまった売りのマグマが一気に噴き出した形だ。

それに伴ってニューヨーク先物市場での出来高も急増、相場が急落した11日には155万枚(1枚=100オンス、重量換算で約4800トン)を記録。金の世界年間生産量を先物市場の1日で売買したことになる。金融でも商品でも出来高を伴って価格が変動するのは過熱感が出ている兆候であり、売買に注意を要する。先物のみならず相場上昇の牽引役であった金ETF(上場投資信託)の保有残高も減少しており、先物主導の投機的動きとは言い切れない。