8月12日、アザー米厚生長官は7月30日に死去した李登輝元総統の追悼場を訪れた(AFP= 時事)

李登輝元総統の死を受けて、米国からは1979年の国交断絶以降で最高位の現職政府高官が訪台。台北市内の追悼場を訪れ、弔意を表明した。中国から強い反発があることを承知のうえで、台湾支持を明確にした。日本からも、安倍晋三首相の意を受けた森喜朗元首相が訪台した。

日本と台湾は、「民主・自由・人権」という価値観を共有している。両国は、歴史的にも地政学的にも、「運命共同体」、すなわち「台湾なくして日本はなく、日本なくして台湾はない」という不離一体の関係にあるといえる。

今日のこのような状況をつくり出すうえで極めて重要な役割を果たしたのが、先日逝去した李元総統であることは、日台両国、並びに両国民が等しく認めるところだろう。

李元総統は、それまで長く独裁が続いた台湾で言論の自由を認め、民主的な総統直接選挙を実現した。このような過程は、内乱か、流血革命になることが多いが、李登輝という哲人総統は、これを「無血革命」で成し遂げた。

血を流さずに行う民主革命がいかに困難なことであるか。現在の香港問題を想起すれば、すぐに理解できるだろう。中華人民共和国は、6月30日の全国人民代表大会常務委員会で、「国家安全維持法」を成立させたが、この法律によって、「逃亡犯条例」に端を発した、昨年6月からの香港の民主派の動きは、完全に封じ込められてしまった。