コロナが招く「不況」の真実 行き過ぎた悲観は禁物

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全体的な経済危機には程遠い。冷静に数字を見る必要がある。

4〜6月期のGDP速報が発表され株価は一時的に下落したが、すぐに落ち着きを取り戻した(朝日新聞社/時事)

戦後最悪の数値を記録したが、今後に対して極度に悲観する必要はないだろう。内閣府が8月17日に発表した2020年4〜6月期の実質国内総生産(GDP、1次速報)は前期比7.8%減(前期比年率27.8%減)となった。

パンデミック(感染症の世界的流行)が直撃しただけに、その影響の大きさは論をまたない。だが、子細に数字を見ていけば、その印象は違ってくる。

まず「年率27.8%減」という過大な負のイメージを払拭する必要がある。

今回のGDP発表前から、新型コロナウイルス流行に伴う消費習慣の変化によって、今後は売り上げが3割程度減るとする「7割経済」という言葉が流布されていた。そこへ「GDP約3割減」というニュースが飛び込んできたため、7割経済が現実化したと捉える向きもあるが、勘違いだ。

GDPの年率とは、その四半期の成長率が4回続くと年間ではどうなるかを示すもの。実際には7〜9月期以降は経済活動再開とともに前期比プラスになるのが確実だ。日本経済研究センター調査(民間エコノミスト34人の平均値)では、7〜9月期は前期比3.14%増(年率13.26%増)と予想されている。その後も回復が続き、20年度トータルでは前期比5.75%減まで減少幅が縮小すると見込まれている。今回のように、短期間に成長率が大きく上下する局面では、年率換算の数値を使うとミスリードになる。4〜6月期に実際に失われたGDPは14兆円程度、年間GDPの2〜3%だ。

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