週刊東洋経済 2020年9/5号
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「病院に行くのも怖い、行かないのも怖い。感染リスクがあるのではないかと、電話診察にしている」「月1回の診察の予定がコロナにより3回も診察できず、再発していないか不安だった」

がん経験者のコミュニティーサイト「5イヤーズ」が今年7月に実施したアンケート調査では、新型コロナウイルスに関する切実な悩みが寄せられた。

コロナ禍の中、がん治療はどのような影響を受けているのか。最も懸念されるのが、手術の中止や延期だ。実際、都内では手術を一時的に中止する病院が相次いだ。東京大学医学部附属病院では緊急手術を除き、緊急事態宣言後の1週間は手術を中止。専用病棟を設置して感染患者を受け入れている東京医科歯科大学医学部附属病院では、4月25日〜5月17日の間は手術を停止していた。

同じく感染患者を受け入れている東京慈恵会医科大学附属病院では、4月4日から20日間、緊急性の低い手術を延期していた。

延期させたのは「早期がんかつ、進行がゆっくりで症状を認めない患者の手術だ」と同院腫瘍センター長の矢野真吾教授は言う。一般診療を中心に行うほかの病院にがん患者を送るケースもあった一方、薬物治療は診療を持続し、患者の減少もなかったという。

しかし、がん診療を維持するには徹底した感染対策が欠かせない。大学病院などでは入院患者にPCR検査を行っているところが多い。慈恵医大病院でも、入院患者全員にPCR検査を実施。さらに、医療従事者への感染リスクが高い外科系の手術を受ける患者には、CT(コンピューター断層撮影)で肺炎がないかを確認している。

「通院中のがん患者で発熱したという相談があった場合は、発熱外来でPCR検査を行うようにしている。患者が安心して治療できるように優先的に検査する態勢も大切だ」と矢野教授は話す。

重症化しやすいのか