有料会員限定

開発進む大型の免疫新薬 Part2 がん治療最前線|最新治療1 薬物療法

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
拡大
縮小

がん免疫、抗体薬物複合体など新アプローチの治療薬が登場している。

スピード審査で承認を取得した乳がん治療薬の「エンハーツ」

特集「がん治療の正解」の他の記事を読む

長らく期待されていたがん新薬が、ついに登場した。第一三共が乳がん治療薬として日米で発売した、「エンハーツ」だ。

エンハーツが米国の規制当局から承認を得たのは2019年12月。通常の承認審査には約1年、短期間の承認審査でも半年はかかるところ、申請からわずか2カ月で承認にこぎ着けた。国内でも、およそ半年間の審査を経て20年5月に販売が開始された。

乳がんでは、およそ2割の患者でがん細胞にHER2(ハーツー)というタンパク質が過剰に発現している。そのため外科手術後の化学療法では、HER2陽性の場合、このタンパク質を狙い撃ちして結合できる分子標的薬(抗体)を用いた治療を行う。

今回承認されたエンハーツも、HER2陽性の乳がんが対象だ。臨床試験(治験)では、既存の標準治療薬である「カドサイラ」での治療歴がある患者にエンハーツを投与。60%の患者でがんの縮小効果が見られ、その効果は14.8カ月持続した。

こうして、治験で良好な成績を収めたことが、日米ともにスピード承認となった要因だ。既存の化学療法が効かない、もしくは効かなくなったHER2陽性の乳がん患者にとって、治療の選択肢が増えたことになる。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
がん治療の正解
世界の研究論文を分析してわかった
がん免疫療法の無法地帯
インタビュー/京都大学特別教授 本庶 佑
免疫の権威が語るがんとの関係
PART4 健康を維持する免疫のしくみ
「異常なし」でも安心は禁物
肝臓がん|脂肪肝由来の患者が増加
子宮がん|子宮頸がんは検診が有効
予防的な手術も対象
乳がん|タイプ別の薬の組み合わせがカギ
肺がん手術は歴史的局面に
肺がん|死者数が最も多いがん
大腸がん|高い診断力が求められる
PART3 6つのがんの徹底解説|胃がん
日米がん治療の違いを比較
インタビュー/国立がん研究センター中央病院 島田和明 病院長
感染拡大に医療者と患者はどう対応したか
最新治療4|光免疫療法
最新治療3|重粒子線
最新治療2|ロボット手術
Part2 がん治療最前線|最新治療1 薬物療法
ウイルスをがん治療に活用
「先進医療」に惑わされるな
信頼性の低い情報にだまされない
患者は自分の未来が見たい
国内最大級のがん経験者組織を運営/5years代表 大久保淳一
がん治療の正解
標準治療の最前線
当事者にしかわからないシビアな悩み、がん患者・家族のリアル
PART1 がん患者学の基礎
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内