伝説の「サロン」はいかにして生まれたのか コミュニティという「文化装置」(増淵敏之 著/イースト・プレス/1700円+税/231ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] ますぶち・としゆき 1957年札幌市生まれ。法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は文化地理学。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。数社で放送番組、音楽コンテンツの制作などに従事したのち現職。『「湘南」の誕生』など著書多数。

特定の時代や場所に、すごい才能の持ち主がなぜか集まることがある。新しい芸術や思想を生み出した19世紀末のウィーン、あるいは1920年代のパリ。歴史をひもとけばいくらでも例を挙げることができる。

本書はクリエイターたちが特定の場所に集まるメカニズムと要因を解き明かそうとする試みだ。そこで扱われるのは、戦後日本のカルチャー史を彩る数々の伝説的サロンやコミュニティである。

その筆頭は、なんといってもトキワ荘だろう。かつて東京・豊島区南長崎の小さな木造アパートに手塚治虫、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄といった天才たちが集まった。いずれも漫画界のレジェンドである。よくぞここまで集まったものだと思う。