名門校の実力を測るには、東京大学への合格実績を見るのが世の常だろう。首都圏の公立高ならなおさらだ。しかし、東大に京都大学の合格者数を合わせると違った風景が見えてくる。

東京|日比谷 vs. 西
東大・京大合計では西に軍配

今年、東大に公立高トップの40人を送り込んだ都立日比谷高等学校だが、京大に合格したのはわずかに1人。一方、東大・京大を合わせた合格者数では、都立西高等学校が42人(東大20人、京大22人)で日比谷を上回る。

西高の萩原聡校長は「理系の研究職などやりたいことがはっきりしている生徒の多くが、浪人してでも京大を目指す」と話す。

東京都杉並区にある都立西。1937年創立で80年超の歴史を持つ

西高では例年、OB会が中心となって「京大ツアー」「東大ツアー」を開く。大学の見学会だが、両方を見たうえで京大を選ぶ生徒が少なくない。「雰囲気が合っているか、実際に見たうえで決めている。親も『大学で勉強したいことがあるなら』と、下宿させることに抵抗がない」(萩原校長)。

西校の教育理念は「文武二道」。勉強も部活も「両方極める」という意味だ。実際、3年生の秋まで部活に打ち込み、そこから受験モードに切り替える生徒が少なくない。現役合格率は55%余りと高くないが、おおらかな校風は将来の職業にも影響を与えている。

「卒業生は、どちらかというと自由な職業に就いている。研究職であったり、ジャーナリストであったり。霞が関の官僚というのは少ない」と、萩原校長。西高の校風にひかれ、私立の中高一貫校に通う生徒が毎年10人以上受験して入学してくるという。大学の合格実績には表れない公立の復権も、着実に進んでいる。

一方、日比谷はそもそも東大志願者が多いのが特徴だ。武内彰校長は、「生徒の希望が最も多いのが東大。入学時から意識しているのは間違いない」と話す。合格実績が高い背景は、きめ細かな進路指導にある。春夏冬や土曜の講習会はもちろん、年4回の模試をベースに詳細な分析、面談を重ねて志望校を絞り込んでいく。

ただ武内校長の表情は冴えない。