東京財団政策研究所上席研究員 早川英男(はやかわ・ひでお)1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2020年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

筆者は前回の本欄(6月27日号)で、コロナ後の世界では国家と市場の役割分担をどう捉え、さらにグローバル化の限界をどう設定するかが重要な主題になると論じた。今回は、この問いへの回答を通じて、コロナ後の経済政策レジームを考えてみたい。

まず、市場を制御する国家の役割が増すことは必至だ。マクロ政策の面では、1980年代以降は金融政策万能論=グリーンスパンFRB(米連邦準備制度理事会)元議長の時代だったが、リーマン危機とコロナ危機を経て雇用を守るうえで財政政策が重要であることが証明された。金融政策は根拠も不確かな2%というインフレ目標に縛られて完全雇用下でも超金融緩和を続けてきたが、もっと金融的不均衡の抑制に重点を置くべきだと思う。

また、感染症拡大に対し医療体制が十分な備えを欠いたことは、公共財の供給過少を意味する。非正規雇用が拡大する時代のセーフティーネットの不備は、今回も再度明らかになった。総じてコロナ危機の経験は、保険供給者としての国家の役割を再認識させるものだったと理解できる。