誇りある金融 バリュー・ベース・バンキングの核心(新田信行、江上広行 著/近代セールス社/1700円+税/258ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] にった・のぶゆき 1956年千葉県生まれ。81年一橋大学法学部卒業。第一勧業信用組合会長。一般社団法人価値を大切にする金融実践者の会 議長。
えがみ・ひろゆき 1967年石川県生まれ。89年金沢大学経済学部卒業。株式会社URUU代表取締役。共著者と同じ一般社団法人の代表理事兼事務局長。

本書の冒頭で、思想家チャールズ・アイゼンシュタインの、「バンカーとは、おカネを美しく使う人を探してくる人のことをいう」(『聖なる経済学』)という言葉が紹介されている。本書のタイトルである「誇りある金融」とは、こういう金融のことをいうのであろう。では逆に、「誇りのない金融」とはどういうものか。

銀行は、しばしば「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」と言われる。自らの本分を忘れて、自分はリスクを取らずに金で金を儲けようとする輩(やから)に見えてしまうから、「金貸し」だとか「銀行屋」だとか揶揄されてしまうのではないだろうか。そうした中で、多くの銀行員が自分の仕事にプライドを持てなくなっている。

経済学者シュンペーターは「新結合」という言葉を用いて、資本主義社会におけるイノベーションによる破壊と創造の重要性を説いた。彼は、事業意欲は旺盛だが資金力のない起業家をサポートする、リスクマネーの供給者としての銀行の役割を強調した。イノベーションには銀行の存在が必須であり、それをサポートするのが銀行の本分だというのである。