きうち・たかひで 1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

金(ゴールド)の価格は7月27日のニューヨーク市場で約9年ぶりに史上最高値を更新した。同時に、ドル指数(DXY)は、約2年ぶりの低水準にまで下落している。

金価格とドルの動きが、深く関連していることは疑いがない。コロナショックで一気に表面化した米国の「日本化」懸念がドルの信認を低下させ、ドル資産から金へ資金のシフトを促しているのだ。

長い間、金はインフレから資産を守るインフレヘッジの代表的な投資対象とされてきた。2008年のリーマンショック後にも、マネーは金市場へ流入した。大幅な金融緩和策と巨額の財政出動が、いずれ物価上昇率を加速させ金の価値を高める、と多くの投資家が考えたからだ。