早稲田大学理工学術院の森本章倫教授は「短期の視点や1つの評価軸で判断すると、都市政策は誤る」と語る(記者撮影)
新型コロナウイルスの感染拡大は、これまで発展し続けてきた都市に対する人々の考え方を変えつつある。
テレワークの普及で、これまで当たり前だった都心のオフィスに通勤するライフスタイルに変化の兆しが見えてきた。密集を避け、都市部から郊外や地方に生活拠点を移そうとする人々も現れている。一方で、東京都の人口は2020年5月に1400万人を突破。東京一極集中の流れは止まっていないようにも見える。
コロナによって都市の姿はどう変わるのか。目指すべき次世代の都市の姿は何か。都市計画、交通計画が専門の早稲田大学理工学術院の森本章倫教授に聞いた。

コロナでも都市構造は変わらない

──新型コロナウイルスの感染拡大で、「3密」になりやすい都市を避ける動きが見られます。テレワークの普及などで都心のオフィスの必要性も問われています。都市の姿はどのように変わっていくのでしょうか。

基本的に、都市の構造は簡単には変わらない。20年、30年というスパンの中で変わっていくので、新型コロナの感染拡大があったからといって急に変化はしない。ポストコロナの状態がこれから何十年も続き、人々の中にその状態が浸透して初めて、緩やかに変わっていくものだと理解したほうがいい。

ここ1、2年の人々の志向が関係ないとまでは言わないが、それが今後20年、30年の都市の動きとどう連動するのかは慎重に見極めなくてはいけない。

──東京都の人口は5月に1400万人を突破しました。東京や大都市への人口集中は加速しています。

これは東京に限らず世界中の都市の宿命だ。「選択と集中」を進めると、機能が集中しているところが強くなっていく。さまざまな機能が集まり、魅力のあるところに人は住みたい、働きたいと思うし、そこで職業が生まれるというプラスの循環が生み出される。これはコロナと関係のない、何十年という長いスパンの中で起きている傾向だ。

──都市への人口集中は望ましいのでしょうか。

それは評価軸によって変わってくる。例えば環境問題でいえば、ある意味でイエス。人が集中して住むことでエネルギー効率は上がるし、移動に伴うCO2排出量は、公共交通の発達した東京は地方と比べて1人当たり4分の1程度で済んでいる。

一方で、コロナ対策で密集を避けた方がいいというなら、(都市集中は)望ましくないといえるだろう。コロナ禍を受けて無理して東京に住む必要はない、地方居住がいいじゃないかという人が増えたとすれば、それはそれで国土政策としては正しいと思う。

いずれにせよ、都市についての評価はプラスとマイナスを組み合わせて考えるべきで、1つの評価軸で判断すると間違った政策を生みかねない。

──近年、郊外開発を抑制して都市機能を集約する「コンパクトシティ」政策が注目を集めています。コロナ後の世界でこの政策をどう考えますか。