日本製鉄の鈴木常務は「電炉も高炉も累積CO2排出量は変わらない」と強調した(記者撮影)

脱炭素を実現するには産業部門の対応が必要だ。その中でも二酸化炭素(CO2)排出量が多い鉄鋼業の取り組みは重要なカギを握っている。

天然資源である鉄鉱石(酸化鉄)から鉄を造り出すために、現在は石炭や天然ガスなどの炭素を使った還元反応を利用している。この過程で膨大なCO2が発生してしまう。

製鉄における脱炭素の本命技術とされるのは「水素」の利用である。水素で還元できれば、排出されるのはCO2ではなくH2O、つまり水となるからだ。

日本では、還元の一部に水素を使う技術の開発を国家プロジェクトとして進められている。このプロジェクトに参画し、試験設備も保有する日本製鉄で環境を担当する鈴木英夫常務に話を聞いた。

──産業界で最もCO2排出量が多い鉄鋼業の取り組みは重要です。

鉄鋼業界として2050年以降、できるだけ早く脱炭素を実現しないといけない。2018年には日本鉄鋼連盟で「ゼロカーボン・スチールへの挑戦」を打ち出した。日本製鉄としても積極的に低炭素化、脱炭素の技術開発を推進している。

ただ、すぐにゼロカーボン・スチールを実現できるわけではない。炭素を減らす移行技術とゼロカーボンの技術の両方で対応していかないといけない。移行技術で代表的なものが、既存の高炉で水素を活用する「COURSE50」だ。高炉に水素を吹き込んで鉄鉱石の還元に使うことでCO2を減らそうというものだ。まずはCO2を10%減らすことを目標としている。

当社の君津地区にパイロットプラントがあり、10%削減の結果は得られている。これを今後、実際の高炉に応用していく。新しく水素供給ラインを作り、爆発しないように管理しないといけない。そうした設備投資の計画も含めると数年かかってしまう。2030年までに1基に導入し、その後順次広げていきたい。

10%削減ならば、製鉄所で発生する水素で賄える。その先、製鉄所外から水素を調達して吹き込む水素量を増やすことでCO2の30%削減を目指している。

──30%削減は実現できそうですか。