「経費節減のニーズが価格競争力のある当社には追い風になっている」と話す石田克史会長兼CEO。1966年生まれ。1985年エス・イー・シーエレベーター入社。1991年育英管財入社。1992年ペムス入社。1994年ジャパンエレベーターサービス(現ジャパンエレベーターサービスホールディングス)設立。2020年6月より現職(写真:ジャパンエレベーターサービスホールディングス)
メーカー系のエレベーター会社がシェアを握る日本のエレベーターメンテナンス業界の中で、唯一上場している独立系メンテナンス会社がジャパンエレベーターサービスホールディングスだ。
同社は2017年に東証マザーズ上場、2018年に東証1部へ市場変更を果たし、メーカー系に劣らない技術力と価格競争力を強みに急成長を続けている。コロナ禍の最中にあって、2021年3月期も増収増益を見込む。
アフターコロナにエレベーターメンテナンス事業はどうなるのか。1994年に同社を創業した石田克史会長兼CEOに聞いた。

車を貸与し、現場へ直行直帰

──コロナ禍で足元の事業環境は?

緊急事態宣言下で通常通りの営業はできなかったが、すでに戻った。エレベーターは景気が悪くなったからといって止めておくわけにはいかない。東日本大震災のときもそうだったが、エレベーターを動かさないと物も運べないので、メンテナンスは止まらない。

コロナの影響を受けて、経費節減のためにメンテナンス料金を削減したいというビルオーナーの声が4月ごろから増えている。

三菱や日立と比べると、当社は信用力の面では勝てないにしても、独立系のサービスと金額に魅力を感じている顧客からすると、東証1部に上場していて、エレベーターのメンテナンス契約台数が(独立系の中で)一番多い当社を試してくれる。

──コロナの影響で経営戦略に変化はありますか?

5月1日付で戦略営業担当という部署を編成し、大口顧客向けの営業を強化している。大口顧客から他の顧客を紹介されることも多く、効果が出ている。

新たな働き方も検討し始めた。当社にはメンテナンスに回っている技術者が約500人いるが、これまでは片道平均1時間10分かけて会社に出勤し、会社で着替えてから現場に行き、最後は会社に戻ってきていた。

その(通勤)時間をなくそうと、社員に車を貸し出して自宅から現場に直行し、終われば直帰。週に1回出社して報告などを行うことを始めている。そうすれば、1日2時間くらい空いた時間ができるので、その時間で点検を1台多くやるとか、残業代を減らすことによって利益率を飛躍的に上げることができる。

欧米ではこのようなやり方が一般的で、会社に通勤して技術者が着替えて点検しに行くというのは日本のやり方だ。本来は段階を踏んでグローバルに合わせたやり方に変えていくつもりだったが、コロナによって一気に進んだ。

緊急事態宣言中はテストケースとして数十人規模で始めたが、下期以降は数百人規模で定常的に行えるようにする。現場の意見は好評で、前の体制にはもう戻れない。メンテナンスの技術者と営業担当が会話をし、修繕工事の打ち合わせをする機会が少なくなるので、故障率などの管理はしっかりやらないといけない。それをリモートでどのようにやっていくかを検討しているところだ。

──メーカー系のエレベーター会社と違い、なぜ安い価格でメンテナンスができるのでしょうか。コロナで顧客から価格低下の要求が強まれば、メーカー系との価格競争が激しくなりませんか。