一橋大学 名誉教授 野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)1940年生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省。72年米イェール大学で経済学博士号を取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て2017年から早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。『「超」独学法』など著書多数。(撮影:今井康一)

ビジネスパーソンの学びは今後どう変化するのか、どうあるべきなのか。『「超」整理法』や『「超」勉強法』などの著書がある野口悠紀雄氏に話を聞いた。

──今後、社会や経済はどのように変わると考えていますか。

コロナ禍が終息しても、アフターコロナの世界はそれ以前の世界の連続ではありえない。ニューノーマル(新常態)という言葉が広まってきたが、まったく違う新しい世界になる。それに対応できるかどうかが重要だ。

今この時期にどういった勉強をし、読書をするのか。在宅勤務が導入され時間ができた、では家でゴロゴロしようという人と、この時間を使って本を読もうという人には、大きな差が出る。

社会人には独学以外ない

──これまでも『「超」勉強法』『「超」独学法』などの著書で勉強の重要性を説いています。

今だからというわけではなく、学ぶことは、いつの時代も重要だ。そして社会人にとっては、勉強の方法の中でも、「独学」がとくに大切だ。

あらゆる学びにおいて独学が重要なわけではなく、小・中学校など基礎教育では、「学校に行くこと」に意味がある。

だが、社会人が自分の仕事のためにする勉強は、独学以外ありえない。自分の専門分野について学びたいとき、何をどう学ぶべきかは、人により大きく異なる。専門分野自体や、学び始めの時点でどんな知識をどの程度持っているかなど個々の条件が違うからだ。

社会人にとって、独学は学校の代用品ではない。学校に通う時間や学費がないから代わりに独学、というわけではないのだ。学校に行っても自分に必要なことをピンポイントで学ぶことはできないから、独学をするしかない。

仕事のための外国語の勉強でとくにそのことが顕著だ。英語で仕事をする場合には、専門分野の仕事を英語で伝え、聞き取ることが必要だが、ここで気をつけないといけないのは、一般的な英会話とビジネスの場における英語が、大きく違うということだ。日本語であっても、仕事のうえでは、日常生活で使わない専門用語を用いる場面が多い。それは英語でも同じだ。こんにちは、ごきげんようと英語であいさつできるか否かは重要ではない。言語が英語になったときにも、自分の専門分野に特有の用語を適切に使えるかどうかが重要だ。

専門用語は、その分野の専門家でないと教えられない。英会話スクールで教えることは不可能だ。だから、独学が必要になる。

──独学では、何を学びの対象とするかが大切だと感じます。