週刊東洋経済 2020年8/8・15合併号
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いまだに「秋口にはコロナ禍が去っている」というメンタリティーの企業経営者が多いことに驚いている。多少深刻に考えている経営者であっても、「1年ぐらいで終わる」と思っている。しかし、いずれも甘い。私は経営者に対してプランB(最悪の事態に備えた事業計画案)を策定するようアドバイスしている。プランBの前提は、今のような状態が最低でも3年続くというもの。世界の主要国35億人以上に対してワクチンを接種できるようになるのは最速で3年、5年かかるかもしれない。しかもワクチンの効果は持続しないかもしれない、と言う専門家もいる。

人の移動が大幅に制限された今のような経済状態が長期にわたって続く。3〜5年も続けば、もはや元には戻らない。この前提でプランBを策定するべきだ。

経営コンサルタント 大前研一(おおまえ・けんいち)1943年生まれ。米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(原子力工学)。日立製作所を経て、マッキンゼー日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。ビジネス・ブレークスルー大学学長として日本の将来を担う人材の育成に力を注ぐ。(撮影:尾形文繁)

100年前の教訓

コロナ危機に対し、すでに日米政府は史上最も大胆な経済対策を打った。日本ではGDP比で世界最大の200兆円もの経済対策を打ち出した。米国では6月の臨時予算だけで、昨年1年分の赤字を出した。財政規律を優先するドイツでさえもEU(欧州連合)の92兆円の財政支出に賛成した。