週刊東洋経済 2020年8/8・15合併号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

いったい今、「起承転結」のどこにいるのか?

新型コロナウイルス感染症が収まりそうもない。7月下旬、世界での感染者は約1620万人、死者は約65万人となった(7月27日現在)。2020年初めに顕在化したこの新興感染症は、最初は中国の問題かのように見えた。武漢市や湖北省での感染が拡大する中で、日本での関心は、もっぱら武漢市からの帰還と横浜港のクルーズ船の動向に集中した。

青山学院大学教授 飯島 渉(いいじま・わたる)1960年生まれ。横浜国立大学教授などを経て、現職。長崎大学熱帯医学研究所客員教授。専門は感染症の歴史。著書に『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』『感染症と私たちの歴史・これから』。

しかし3月には、韓国や日本、欧州でも感染が拡大し、WHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言した。とくに、イタリアとスペイン、英国での被害が目立った。日本でも4月に緊急事態宣言が出され、可能な限り自宅で仕事や生活をする行動変容が求められた。

日本での感染の拡大はかなり抑制され、5月には緊急事態宣言も解除された。こうした経緯から、「起承転結」でいえば「転」あたりにいるのでは、という想像に至ったのではないか。

実際には、米国での感染が再び拡大し、ブラジルなどの南米諸国、インドや南アフリカなどでの感染の拡大が止まらない。「米国の失敗」(感染者約423万人、死者約14万7000人、7月27日)は明らかである。こうした中で、日本でも東京を中心に再び感染が顕在化し、予断を許さない状況になってしまった。