慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

コロナ禍が日本の労働市場にもたらした最大のインパクトの1つが、労働時間の減少だ。一般の不況期でも企業の操業度低下とともに労働時間の減少が見られるが、全国的に休業や営業時間短縮が広がった今回は、これまで経験したことのない急減が生じた。

総務省の「労働力調査」によると、緊急事態宣言が解除された5月末1週間における平均就業時間は36.1時間で、前年同月に比べて2.2時間も減少した。しかも、これは少しでも働いた人についての数字であり、この間に274万人も増加した労働時間ゼロの休業者は含まれていない。

労働時間の急速な減少は当然、経済活動の停滞を意味し、宿泊、飲食、教育といった業種での大きな減少はそれを如実に示す。だが、さらに興味深いのは、より広い業種においても労働時間短縮の動きが見られることだ。