2003年、筆者が取材した「最後の自作自演レコーディング」時のカプースチン

今年7月は、ロシアのニコライ・カプースチンとイタリアのエンニオ・モリコーネという、20世紀を代表する作曲家の訃報が続いた。2020年は音楽界においても特別な年になりそうだ。

モリコーネは、昨年1月にこの世を去ったフランスのミシェル・ルグラン同様、映画音楽を中心とした20世紀後半の活躍によって人々の記憶にその名を刻む。

しかしカプースチンは違う。彼が日本で初めて紹介されたのは、20世紀最後の年となる00年のことだった。1980年代にロシアで録音された2枚のアルバム『24の前奏曲』と『8つの演奏会用エチュード』は衝撃だった。カプースチン自身の圧倒的な演奏によって描き出されるジャズテイストの音楽は新鮮そのもの。世のピアノファンをとりこにする魅力にあふれていたのだ。