「すべての職業がプロ化する時代」と語った冨山氏。写真は2018年(撮影:尾形文繁)
アフターコロナ、ウィズコロナで社会のあり方が変わる中、ビジネスパーソンはどう対応すべきか。そして、日本企業に活路はあるのか。パナソニックの社外取締役を務め、企業の再生や成長支援を手がける経営共創基盤の冨山和彦CEOに聞いた。

メンバーシップ型の雇用は限界

──コロナ後、日本企業や社会はどう変わっていくべきでしょうか。

まずは、企業はもっと稼げるようにすることが必要だ。グーグルやアップルは売上高に占めるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の比率が20~30%ぐらいある。グーグルが1兆円の商売をやれば、2000~3000億円の利益が出て、それをまた投資に突っ込んでいる。

日本ではこの比率が4%ぐらいしかない。日本の経営者は「短期的な利益を最大化すると長期的な投資ができない」と言っているが、私には理解できない。儲かっていない会社がどうして投資できるのか。

キャッシュフローを稼ぐためには、結局はお客さんがお金を払ってくれるサービスを提供することに尽きる。だが、日本ではこれができていない。

例えば終身雇用制のように、かつてはうまく機能していた制度でも(今はそうではなくなり)、現在は企業が莫大な固定費を抱えている。そして、少しでも粗利を稼ぐために付加価値の小さい製品を毎年生み出すしかない構造を生んでいる。

これだけ大きなパンデミックを引き起こしたコロナ禍はトランスフォーメーションのチャンスだ。すでに実際の社会が変わった。もはや、正社員やメンバーシップ型の雇用(職務を決めないまま会社のメンバーになること)が成り立たないことは明らかだ。

──従来の仕組みはもう続かない、と。

例えて言うと、従来の(会社の)仕組みは、プロの野球選手なら全員が年をとればコーチや監督になって最後にフロント(運営会社)に入るという想定だった。プロ野球を見れば明らかだが、それはありえないということだ。

とくに中間管理職は日本だけではなく世界中から消え去ろうとしている。すべての職業がプロ化する時代なので、これから「管理」という仕事は機械がやるか、1人ひとりのプロフェッショナルな働き手が自分自身でやることになる。

今、自分自身のトランスフォーメーションがいちばん問われているのは部長や課長だ。「中間管理職の皆さんのお仕事は何ですか?」ということが問われている。これから求められるのは「中間経営職」になる。
 

──中間経営職?