Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生(スベン・カールソン、ヨーナス・レイヨンフーフブッド 著/池上明子 訳/ダイヤモンド社/1800円+税/422ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile]Sven Carlsson 1986年生まれ。スウェーデンの日刊経済紙で活躍するジャーナリスト。テクノロジー企業を中心に取材している。Jonas Leijonhufvud 1974年生まれ。98年から金融ジャーナリスト。現在は共著者と同じ日刊経済紙の記者として活躍中。

今や巨人となったスタートアップ企業の成功譚ではあるのだが、不思議な読後感をもたらす一冊だ。世間知らずの大学生によるウェブサービスが世界中へ広がっていく爽快感もなければ、急成長に浮かれて失敗するお茶目さもない。例えるなら、人気ファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の重厚なタイトルBGMが延々流れているような世界観。その通奏低音の中に、人を物語へ強く引き込む異質な磁力がある。

本書には、音楽ストリーミング分野で世界最大の企業となった「Spotify(スポティファイ)」が北欧で産声を上げてから、世界中に「いつでも音楽を」提供するようになるまでの過程が描かれる。プロセスをユニークなものにしているのは、起点がスウェーデンであったこと、そして裾野の広い音楽業界が舞台である点だ。この2つの条件によって、世界を変えるまでの独自の道筋が示されたと言っても過言ではない。