たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。非鉄金属本部で17年間、うち7年間は英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどベースメタルの取引を担当。その後、金融事業本部長やエネルギー本部長を経て、住友商事グローバルリサーチ社長。2018年4月同社ワシントン事務所長。20年7月から現職。(撮影:梅谷秀司)

「オマハの賢人」と呼ばれる著名投資家ウォーレン・バフェット氏が脱炭素の流れに反する大きな賭けに出た。傘下のエネルギー事業会社バークシャー・ハサウェイ・エナジー社は7月5日、バージニア州に本拠を置く電力ガス事業の大手老舗企業であるドミニオン・エナジー社から天然ガスに関連する大型事業を総額97億ドル(約1兆円)で買収すると発表した。

買収の対象になった事業は、全長7700マイル(約1万2300キロメートル:首都ワシントンからロサンゼルスまでの距離の約3倍)ものガスパイプライン網と1兆2600億立方フィートのガス貯蔵設備、それにドミニオンがメリーランド州チェサピーク湾に保有するコーブポイントLNG(液化天然ガス)輸出基地の25%相当分である。

今回の買収劇で注目を浴びているのは、この分野の老舗であるドミニオン社が同じく老舗の大手デューク・エナジー社との間で進めてきた大西洋岸パイプライン構想を断念したのと同時に発表された点である。