新型コロナと闘う医療従事者に感謝するため東京上空を飛行したブルーインパルス(5月29日)(ロイター/ アフロ)

通常国会が閉幕し、東京都知事選挙も終わって、政治の弛緩が深刻化している。7月に入ると、東京都における新型コロナウイルスの感染者は連日200人を超えた。新宿などの「夜の街」以外にも保育園や医療機関での感染が見つかり、市中感染の発生が懸念されている。

この事態について、国と東京都は責任を押し付け合っている。菅義偉官房長官は7月11日の記者会見で感染拡大を「東京問題」と述べ、小池百合子都知事は13日の記者会見で、観光促進策と感染拡大防止の両立を図るのは国の責任だと述べ、官房長官発言に反論した。沖縄では、米軍基地でクラスターが発生した。しかし、的確な情報開示も防止対策もなされていない。国であれ地方自治体であれ、最高責任者たる政治家は国民、住民の生命に責任を負うのであり、感染拡大に対しては迅速に対策を実行するのが当然だ。指導者の責任感の欠如は見苦しい限りである。

感染拡大防止策については専門家が議論しているが、検査を拡大し、症状のレベルに応じた隔離・治療の体制をつくらなければ、経済活動の拡大はできないと思われる。ここでは、医療サービス供給体制の強化について考えておきたい。

指定感染症の制度に基づき、感染者は症状の程度にかかわらず入院させることになっているので、政府は今春の初期段階では病院がパンクすることを防ぐために検査を絞り込む方針を取った。あれから4カ月経つが、病院の体制が整備されていないことがうかがえる。

最も驚くべきニュースは、東京女子医大病院で夏のボーナスがカットされたことで400人に上る看護師が退職を希望しているという話である。京都大学医学部附属病院は、手術室や検査室を陰圧化する工事費用をクラウドファンディングで集めると発表した。国民の一人として恥ずかしく、日本は先進国だとはいえない状況である。