ネクソンのオーウェン・マホニー社長は「強力な世界的IPを持ち、あらゆるインタラクティブなメディアで生かせる企業が圧倒的な勝者になる」と主張する(写真:ネクソン)
パソコン(PC)やスマートフォン向けオンラインゲームを手がけるネクソンの株価が絶好調だ。今年5月には2011年の上場以来、初めて2兆円を突破。足元でも2兆2000億円前後を維持している。
同社は日本に本社を置くが、売上高の8割を占めるのが中国と韓国だ。特に韓国では、2003年に開始し世界で1億8000万人のユーザーを抱えるPC向け長寿RPG『メイプルストーリー』が空前のヒットとなっており、2020年12月期第1四半期は前年同期比で売上高が2.3倍となった。四半期としては過去最高だ。スマホ版も同2.8倍という勢いだ。
これまで最も売り上げを稼いできた中国で展開するPC向けRPG『アラド戦記』(登録ユーザー7億人)は2019年後半から不調だったが、足元では盛り返しつつある。さらに今年8月には全社を挙げて注力するアラド戦記のスマホ版の配信も始まる。事前登録者数は5900万人を超えており、一段高い成長への期待感が株価にも表れているといえる。
中国や韓国では新型コロナウイルスの感染がいち早く広がったが、その影響もほとんど受けていない。むしろ「エンターテインメントの主流がオンラインへ移っていくということを、コロナが一層明白にした」と語るのは、ネクソンのオーウェン・マホニー社長だ。“コロナ後”のエンタメの形はどう変わっていくのか。マホニー社長が縦横に語った。

没入できるゲームに特化

──業績と株価はかつてない好調ぶりを見せています。この要因は何だと考えていますか。

大きく3つある。まず展開する各タイトルが好調ということ。複数のタイトルで一貫した上昇トレンドがある。特に韓国におけるメイプルストーリーの業況はよい例だ。

もう1つが2019年の下期に大きな戦略転換をしたことだ。われわれが得意なこと、つまり、深く没入した体験ができるゲームの開発への注力を決めた。ゲームのプレー方法を学びやすい一方で、マスターするのは難しいというものを指す。幅広い人にアピールできると同時に、何年も深くプレーをしてもらえる。メイプルストーリーは17年、アラド戦記は14年、そしてレーシングゲームの『カートライダー』は15年もの間、中国や韓国を中心にPCユーザーに親しまれてきた。

主力PCゲーム『アラド戦記』(左)が中国で、『メイプルストーリー』(右)が韓国でヒットしている(画像:ネクソン)

多くの業界他社と同様に、(簡単にプレーできるパズルなどの)カジュアルゲームや、1人でストーリーを進めるタイプのゲームも開発してきたが、そうしたタイトルの展開をすべて止めた。没入できるバーチャルワールドを体験できるゲームだけに注力することにした。われわれが切り開いた領域だからだ。その結果が今の業績に表れている。

3つ目がグローバルな産業の変化だ。エンタメ業界全体として、メディアはオフラインからオンラインへと移りつつある。つれて、映画や音楽、スポーツといった一方向のメディアから、ゲームや「TikTok(ティックトック)」のような双方向のメディアへの転換が進んでいる。

──こうした変化は新型コロナの影響も大きいですか。