島津製作所の上田輝久社長は「(新型コロナの後)島津製作所がどんなことをやっているのか、理解してもらえた」と語る(写真:島津製作所)
食品や医薬品、空気、水など、あらゆるものの成分を調べる分析計測機器が主力の島津製作所。PCR検査に使用する試薬を製造しているほか、肺炎診断に使用されるX線検査装置などの医療機器も手掛けている。
その一方、航空需要が落ち込んでいることから油圧制御装置などの航空機器事業は逆風にさらされている。半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造ラインで使われるターボ分子ポンプや真空装置などの産業機器もコロナ不況の影響を受けそうだ。
アフターコロナの世界でどのような経営戦略を練っているのか。島津製作所の上田輝久社長に聞いた。

事業再編を加速させる

──各事業は新型コロナでどのような影響を受けていますか。

航空機器事業は落ちている。旅客需要が落ちたことで航空機を製造するアメリカのボーイングやヨーロッパのエアバス、航空機のエンジンを製造するゼネラル・エレクトリック(GE)などの経営環境が厳しく、業績も悪い。

産業機器分野は自動車業界向けが芳しくない。一方、半導体業界向けはいい。5G関連の部品や機器を製造する産機(産業機器)を手掛けているが、これらが好調で他の工場から人員が応援に駆けつけてフル稼働している状態だ。

新型コロナ対策に直接かかわる医療製品は引き合いが強い。肺炎を診断するためのX線検査装置は、2月に中国の多くの工場が感染防止のため稼働停止を余儀なくされたが、カートタイプのX線検査装置は現地政府からフル生産の要請を受けた。世界的に新型コロナの治療薬やワクチンの開発が進んでおり、その研究を支援するための質量分析計や液体クロマトグラフなども好調だ。

──2020年5月に発表した中期経営計画では航空機器事業を「再編事業」と位置づけ、「事業再編を加速」するとしています。

株主向けの事業報告で「拡大」「育成」「撤退」の3つの区分で事業ポートフォリオを考えていくとお伝えした。何が拡大で何が撤退になるのか。過去15年の業績をみてもらえれば、ある程度予想がつくだろう。

当社の4事業のうち、分析計測、医用、産業機器の3つはシナジーを見込めるが、航空機器だけは異質な事業で、将来を考えて必要な決断と取り組みが必要だと感じている。

自衛隊向けの製品など国防にも関わる事業だ。民間事業者向けを含めて、顧客に迷惑をかけないようによく相談しながら、悪影響を与えないように事業規模を再編していく。

──売上高全体の2割を占める医用事業は、新型コロナで大きな注目を集めました。