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昔から変わらないかんぽ「不正の手口」 35年前の内部告発本は語る

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かんぽの不正営業の手口は半世紀以上前に「開発済み」だった。

特別調査委員会は追加報告書58ページで書名を挙げずに告発本から引用

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郵便局における不適正募集は、極めて古い時代からの問題であった──。これは「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が今年3月に公表した追加報告書からの抜粋だ(上写真)。

かんぽ生命の販売を代行する日本郵便では、昨年6月下旬に郵便局員による大量の不適正募集が発覚。営業を自粛してから今年7月で1年が経過した。

乗り換えは当時から存在

追加報告書はこうも指摘する。「1985年に発刊された内部告発本には当時から乗り換え話法が存在、乗り換えは局員たちの募集手当稼ぎの手段だった」(要約)。

この「内部告発本」とは35年前に刊行された『簡易保険・悪の構図』。元郵便局員の灘文夫氏が書いた告発本だ。当時の郵便局員は国家公務員で、「簡易保険」はかんぽの前身である。

告発本の著者は1941年生まれ。1966~1983年まで保険一筋の元郵便局員。本書は絶版で出版元に在庫ゼロ、保存版も残っていない

告発本の舞台は都内の高級住宅密集地。著者が所属していた郵便局は、東京で五指に入る大局で全国でも有数の郵便局だ。

著者はこの大局で「山崎軍団」の一員だった。「軍団」とは顧客を騙して保険契約を大量に獲得する仲間を指す。保険専業の営業職員である山崎(仮名。以下同)が「軍団の総帥」だった。軍団は毎朝喫茶店に集まって、大口の保険契約を獲得するための作戦会議をしていた。著者は軍団中枢にはおらず、客人のような扱いだった。

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