2020年はトヨタ系列の国内販社にとって真価を問われる年だ。コロナ禍だからではない。5月からトヨタ自動車がチャネルごとの専売車種を廃止し、「全車種併売化」に踏み切ったことで競争のフェーズが変わったからだ。

豊田章男社長は2011年の東日本大震災以降、「日本の自動車産業を守るためには1000万台規模の国内生産が欠かせない。トヨタは最低300万台を生産しなければいけない」と訴えてきた。それを満たすため、輸出で150万台、国内販売150万台を確保するのがトヨタの考えだ。

 

全車種併売化の方針をトヨタが打ち出したのは2年前、全国の首脳を集めた販売店大会の場でだった。「成り行きでは、現在156万台あるトヨタ車の国内新車販売台数は2025年に120万台まで減少」。トヨタ幹部は、具体的な数字を会場の大画面に映し出し、危機感をあおった(下図)。そして、何も手を打たなければ地場資本が大半を占める国内販社約280(当時)のうち約80社が赤字になりかねないとも指摘した。

 

近年、米トランプ政権に代表される保護主義の高まりで、海外では現地生産のプレッシャーが高まっている。そして、国内の自動車市場も厳しい。1990年の777万台のピークから現在は約500万台まで縮小。トヨタの販売台数も1990年の250万台から直近は160万台前後まで減った。

人口減少や高齢化によるドライバー人口の減少で国内市場の縮小は避けられない。国内販売150万台を“死守”するには、全車種併売化に舵を切るしかなかった。つまり、「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」という4チャネルの実質的な一本化は必然だったといえる。

 

チャネルごとの専売車種がなくなり、全国5000店のトヨタ系販社の競争条件はまったく一緒になった。国内市場が縮小する中で、すべての店舗が生き残れる保証はない。あるトヨタ系販社のトップは「県外の販社との提携、買収、何でもありだ」と意気込む。併売化の開始で販売現場では何が起きているのか。地場の有力ディーラーは何を考えているのか。そして、地方のトヨタ系販社の動向など、国内販社の最前線をリポートする。

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