国内市場の縮小は20年以上前から見越していたというKTグループの上野氏(撮影:梅谷秀司)
「モビリティ・カンパニーへと変革する」――。トヨタ自動車の豊田章男社長がそう宣言したのは2018年のこと。
だが、それよりも20年以上前に「モビリティライフ創造企業」というコンセプトを作り、独自のサービス展開を推し進めてきたトヨタ系ディーラーがある。神奈川県に100以上の販売店を持つKTグループだ。
2020年5月に同社は、傘下4社(神奈川トヨタ自動車、トヨタカローラ横浜、ネッツトヨタ横浜、ネッツトヨタ湘南)を合併した。神奈川トヨタ自動車の創業は1939年で、トヨタ系ディーラーの中では最古参の一角である。
トヨタの全車種併売化を受けて、どんな展開を考えているのか。創業3代目のトップである上野健彦会長兼社長に聞いた。

身内でドンパチやっても無駄

――傘下4社のディーラーを1つに統合しました。

トヨタの全車種併売化に伴って、この際、業務を効率化しようという観点はなくはない。ただ、(グループの販社は)部品の流通や車両登録作業など、かなりの部分を以前から一体化して運営してきた。

われわれは相当前から、人口減少で国内市場の縮小が間違いなく起こるとみていた。そうなったとき、自分たちは社会から何を求められるのかを市場調査した。1993年のことだ。さまざまなお客さんから聞いた話をすべて文字に起こし、どういう要素がそこにあるか探した。

全体をとりまとめて分析した結果、遊びであれ、仕事であれ、実際の生活であれ、要するに「自分たちがストレスなく動けるようにしてほしい」というニーズが根本にあるとわかった。

それで、1994年に当社のコンセプトを「モビリティライフ創造企業」とした。1998年に50年社史を出しているが、そのタイトルは「モビリティライフの創造」だ。実は数年前に「モビリティデザイン」というサービスの商標が特許庁に申請して取れている。

1998年に発刊された神奈川トヨタの社史。『モビリティライフの創造に向けて』というパートには、バブル崩壊を境に国内市場が、「従来手法の継続では対応できないものに変化してきていた」と記している(編集部撮影)

――以前からそうして取り組んできたから、一本化した店舗の名称も「トヨタモビリティ神奈川」なのですね。

そう。これはたまたまだが、われわれが「モビリティ」という言葉をずっと使っていたら、急にトヨタが「モビリティ」と言い始めた(編集部注:2018年にアメリカで開催された世界最大のデジタル技術の見本市で、豊田章男社長が「モビリティ・カンパニーへと変革する」と宣言した)。

――すると今回の併売化とKTグループ傘下の4社合併はそこまで関係していないと?