「ビジネスパーソンにとっても、ネット上で起きている事件は他人事ではない」と語るイー・ガーディアンの高谷康久社長(撮影:今井康一)
新型コロナウイルスの感染拡大で、ビジネスパーソンの日常は一変した。リモートワークが一気に普及し、インターネットを使う時間がこれまで以上に増加している。
インターネットは便利な反面、当然ながらリスクや落とし穴も併せ持っている。例えば、テラスハウス・木村花さんのような事件が後を絶たない。あらゆるビジネスパーソンがネット上のリスクと無縁ではない。ビジネスパーソンには、どのようなネットリテラシーが求められるのか。
専業でネットセキュリティに携わっているイー・ガーディアンの高谷康久社長に聞いた。

どうすれば木村花さんを守れたか

──イー・ガーディアンでは、芸能人や企業のスポークスパーソンを対象に、SNS上の投稿内容を監視するサービスを始めました。目的は何でしょうか。

恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー・木村花さんのことはたいへん気の毒な事件だった。ネット上では、このような事件が常に起こりうるリスクがあることをもっと多くの人が認識し、防止策を講じていくことが重要だ。

当社では、以前から芸能事務所などから、芸能人が始めたブログなどの書き込みチェックの依頼を受けている。24時間しっかり監視して、悪意のある書き込みは消し、本人を守ってあげてほしいという依頼だ。テラスハウスの事件を1つのきっかけにして、芸能事務所などに所属する有名人や企業のスポークスパーソンを対象としたサービスとして拡充した。

当社では、1998年の創業以来、ネット上の投稿監視、風評調査などを続けている。近年、SNSを中心としたネット上の誹謗中傷を意図した匿名の書き込みが急増している。総務省の違法・有害情報相談センターによると、2019年度の相談件数は5198件で2010年度の4倍に膨らんだ。

こうした現状を踏まえて、これまで培ってきた投稿監視のノウハウを生かし、SNS上のパトロールや証拠収集などを行い、被害を最小限に抑える支援をすることにした。

──SNS上で事件が急増している原因は何でしょうか。

2ちゃんねる(現在・5ちゃんねる)に代表されるように、もともとネットでの書き込みは匿名が原則だった。ところが、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターが広がり、実名で情報発信する人が増えたことで新たなステージに移ったと考えている。

こうした実名メディアが誕生した当初、これは定着しないと私は見ていた。ところが、タレントやスポーツ選手などが実名でアカウントを持つことが一般化した。情報発信する本人は実名だが、それに対して匿名で書き込みができるという非対称の歪みが事件を増やす背景になっている。

──テラスハウスの事件はどうしたら防げたのでしょうか。