増える大人のADHD、ところが90%は愛着障害 精神科医 岡田尊司氏に聞く

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おかだ・たかし 1960年生まれ。東京大学文学部哲学科に学ぶも、象牙の塔にこもることに疑問を抱き、医学を志す。京都大学医学部卒業後、京都医療少年院などに勤務。2013年に生きづらさを感じる人々の「安全基地」となるべく岡田クリニック開業。著書に『愛着障害』『死に至る病』など、近刊に『自閉スペクトラム症』。
ADHDの正体: その診断は正しいのか
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ADHD(注意欠如/多動症)は多動・衝動性、不注意が特徴の、先天的な脳のトラブルに起因する神経発達障害の1つとされる。18歳未満の病気で、成長すれば改善するとされたが、近年「大人のADHD」が増えている。

──米国発の診断基準緩和と薬物療法が患者を増やしている?

1952年、米国で微細脳機能障害という診断名ができたのがADHDの始まりです。このときは脳炎後遺症のような外的要因に起因する小児の多動性障害を指した。5年後に診断概念の飛躍が生じます。当時の米国の学校は多動、不注意で授業に集中できない子供に手を焼いていて、そういう子供は脳に問題があるのではないか、となった。実際、メチルフェニデートという脳を刺激する薬を投与するととても効果がありました。

依存、濫用の問題があり、成人までには投与をやめるとされていたが、やめると症状が悪化する。患者救済の観点から、94年、7歳未満で発症し現時点で診断基準を満たせば成人であってもADHDと診断可能になりました。結果、メチルフェニデートの処方量は90年代を通じ6倍になっている。さらに2013年には、診断基準が12歳発症まで拡大されました。

──日本は米国の後追いですか。

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