中国では国営の研究機関が中心となって開発が進められている(アフロ)
週刊東洋経済 2020年7/18号
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パンデミックはまだ収まる気配がない。新型コロナウイルスに対する免疫を獲得し、経済活動を完全に再開するために不可欠なのがワクチンだ。WHO(世界保健機関)によれば、世界で147の候補が開発中で、そのうち18候補がヒトに対する臨床試験に進んでいる(7月2日時点)。

欧米や中国を中心に進むワクチン開発では、国が強力なバックアップ態勢を敷いている。コロナから自国民を守るため国益を懸けたぶつかり合いの側面もある。

開発レースの先頭を走る米国では、「ワープスピード計画」が進行中だ。5月に発表されたこの計画には、保健福祉省や疾病対策センター(CDC)に加え、国防総省なども参画している。100億ドルもの予算が確保され、有効性、安全性が確立された3億人分のワクチンを、2021年1月までに確保することを掲げる。

米当局はまず、5社の有望なワクチン候補を選定した。英アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同で開発する候補にはすでに12億ドルの援助を行っているほか、米ジョンソン・エンド・ジョンソンや米バイオベンチャーのモデルナにも、それぞれおよそ5億ドルを支援した。

製薬企業が研究・開発から製造までを担う一般的なワクチン開発では、リスクを最小限にするために、開発状況が進むにつれて段階的に製造設備を増強していく。だが実用化まで一刻を争うような今回のケースでは、開発と同時並行で、すでに製造設備の増強にも多くの資金が投じられている。開発から量産化までの時間を大幅に短縮しようというのが、この計画の狙いであり特長だ。