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気づけば感染対策の後進国 「教訓」生きず、PCR目詰まり

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感染症対策が不十分なことは10年前から指摘されていた。しかし、改善されることなく放置されてきた。

国の専門家会議の様子(左から加藤厚労相、会議座長の脇田国立感染症研究所長、西村新型コロナ担当相)(時事)

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週刊東洋経済 2020年7/18号
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コロナがあぶり出した課題、第2波が来ても大丈夫か

新型コロナウイルスのPCR検査を推進するか、抑制するか。テレビのワイドショーをはじめ、メディアは「もっと検査を」と推進論に染め上げられていった。だが、この問題は「推進」「抑制」の二元論では決着はつかない。新型コロナウイルスの実像がつかめない限り、「正解」などないからだ。

むしろ浮き彫りになったのは、過去の教訓を放置してきたために、検査態勢に複合的な「目詰まり」を起こさせた構造的な問題だ。PCR検査の経緯を検証すると、慢心によってこの国が感染症対策後進国になっていたことに気づく。

2月16日、政府は感染症や公衆衛生の専門家を集めた初の専門家会議を開催した。横浜港にはダイヤモンド・プリンセス号が停泊中で、日本で初めての感染例が発表された日だ。

主要な議題の1つが、市民がどんな症状のときに、保健所が運営する「帰国者・接触者相談センター」(以下、相談センター)に相談すべきかの目安だ。厚生労働省が作成した原案を経て公表されたのが、「相談・受診の目安」だ。

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