有料会員限定

経済や学業の犠牲は限界 リスクに見合った賢い対策を

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 最新
拡大
縮小

日本では新型コロナによる死亡リスクは小さい。過大な負担となる緊急事態宣言を繰り返すべきではない。

週刊東洋経済 2020年7/18号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

特集「コロナ徹底検証」の他の記事を読む

日本が第1波で学んだのは、米欧と異なる新型コロナ対応が必要ということだ。6月28日時点で新型コロナウイルスによる死者は971人で、これは世界的にみて非常に少ない。日本では憲法上の問題もあって、米欧のような厳しい都市封鎖(ロックダウン)を行えず、自発的な活動自粛に頼るしかなかった。そのため、人の移動を完全には制限できず、ウイルス流行の余地を残すことになった。にもかかわらず、人口比でみた新型コロナウイルスの死者は、米欧の数十分の一にすぎない。

また、新型コロナウイルスによる死者数は季節性インフルエンザによる死者数をも下回っている。ワクチンがあるのにインフルエンザで例年12月から翌3月までの4カ月間で3000人程度が亡くなる。だが、これまでの新型コロナウイルスによる死者はその3分の1の規模だ。

これだけ低い死亡率にもかかわらず、感染予防目的でさまざまな活動制限を行ったため、脅威に見合わない過大な負担を背負うことになった。IMF(国際通貨基金)の見通しでは、今年の日本の成長率はマイナス5.8%と、リーマンショック後を上回る落ち込みになる。経済的損失だけではない。勉学や課外活動の機会を奪われ、社会・地域との接点を失った子どもたちの成長にも大きな負の影響を残した。「コロナ太り」と揶揄されたように、長期の在宅生活で健康面の損失も積み上がっている。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
コロナ徹底検証
インタビュー/北海道大学大学院教授 西浦 博
国益を懸けた開発競争
PCR検査の拡充と新手法の開発
世界エイズ・結核・マラリア対策基金 局長 國井 修
感染爆発の米国、ブラジル
慶応大学医学部教授 宮田裕章
「接触確認」の可能性と限界
水際対策の難しい舵取り
Part3 第2波に備える、往来再開が「第2波」の引き金に?
国際医療福祉大学医学部教授 和田耕治
国立国際医療研究センター 国際感染症センター長 大曲貴夫
“命の砦"で何が起きていたのか
見逃されたコロナ関連死
「教訓」生きず、PCR目詰まり
神戸大学大学院 教授 岩田健太郎
なぜ死者数が少なかったのか
Part2 第1波を検証、“日本勝利"のミステリー
悪影響は卒業後も続く
重要情報がわからず検証不可能
リスクに見合った賢い対策を
コロナ禍を克服できるか
「自粛過剰」批判は妥当か
Part1 政策の功罪、8割削減にバッシングの嵐
「42万人死亡」は過大だった?
コロナ徹底検証
「日本モデル」は第2波に耐えられるか
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内