緊急事態宣言の解除後に久しぶりに年老いた父を見舞おうと、郷里の高齢者施設に電話してみた。すると「県外からの来訪はご遠慮いただいております」と言われてしまった。県内在住の家族の訪問はよくて、首都圏から来る人がリスクであるらしい。

こんな形で「差別」を受けるのは、もちろん気持ちのいいものではない。とはいえ相手の立場になればいささかの不思議もない。「今日は東京都で××人の感染者が出た」と日々のニュースが伝えている。院内感染を起こせば、たちまち施設の経営は行き詰まる。

新型コロナウイルスによる死者がわが国で少ない理由の1つに、高齢者施設の「防衛策」があるらしい。フランスにおける死者は、実に4割が院内感染によるものであったとか。しかも施設はマスクや消毒薬の準備が手薄であり、外からの面会も止めなかった。