ベーシックインカム(以下BI)が再び注目されている。新型コロナウイルス危機への緊急対策として先進各国で国民全員に一律の現金給付が実施され、これがBIを連想させたようだ。

BIは基礎的所得保障などと訳され、人が生活を維持するのに必要な最低限の額を国民全員に無条件で支給する制度である。多くの人はそれ以上の所得が欲しいと考えるので労働意欲をそぐことはないという理屈だ。

「働かなくてもお金がもらえる」制度として喧伝され、貧困撲滅や格差是正の切り札になると期待している人たちも多いが、そこには誤解があるのではないか。

BIの基本的な考え方は、今ある社会保障制度、つまり医療保険や年金、手当、生活保護などを一律給付に一本化するものだ。そもそも仮に年100万円を日本の全国民に配ると120兆円が必要で、日本の今の歳出総額100兆円をも上回る額になってしまう。これはどの先進国でも同様だ。