深圳市EV向け独自補助金のからくり 地元EVメーカーの比亜迪(BYD)を優遇する内容に

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広東省深圳市は、電気自動車(EV)など新エネルギー車の個人による購入を後押しするため、市政府独自の補助金を1台当たり最大4万元(約60万円)支給する。

深圳市は補助金の申請資格も緩和した。以前なら、深圳市の戸籍を持たない住民(訳注:中国では戸籍の登録地を自由に移すことができない)や外国籍の居住者は、同市で社会保険料を24カ月以上連続で支払っていなければ補助金を申請できなかった。今回は、深圳市での居住許可証を持っていれば誰でも申請できる。

市政府のガイドラインは、補助金の対象になるEVの技術的スペックを定めている。深圳市内の自動車ディーラーによれば、それは地元EVメーカーの比亜迪(BYD)を優遇する内容になっているという。

例えば、ガイドラインは補助金の対象となるEVの全長を4970ミリメートルから5200ミリメートルまでとしている。EVの性能とは何ら関係ないはずだが、次のようなからくりがあるようだ。仮に住民が人気の高い米テスラの「モデル3」を購入しても、全長が4694ミリメートルなので補助金支給の対象外とされる。しかしBYDの新型車「漢」を選べば、全長が4980ミリメートルなので支給されるのである。

なお、新エネルギー車への深圳市独自の補助金は2020年末で終了する。中央政府の補助金や自動車取得税の優遇措置は22年末まで継続される。

(財新記者:鄭麗純、方祖望、原文の配信は6月12日)

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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