19年度決算で多額の貸倒引当金を計上したふくおかFG(共同通信)

「現実にはありえない金額だ」。ある大手地銀の幹部は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の与信費用を見て、こう漏らした。

与信費用とは、不良債権の処理にかかる費用や、貸し倒れの発生に備えた引当金のこと。ふくおかFGは2019年度(20年3月期)決算で、福岡銀行、熊本銀行、親和銀行、十八銀行の傘下4行合わせて614億円もの与信費用を計上。これは、18年度の与信費用51億円の10倍以上の金額だ。

他の大手地銀と比較しても、その大きさは際立っている。横浜銀行を傘下に持つコンコルディア・FGの与信費用は約245億円。ふくおかFGの貸出残高が約16兆円、コンコルディア・FGが約13兆円であることを考慮しても、ふくおかFGの与信費用がいかに大きいかがわかる。

これだけ大きな与信費用の計上に踏み切ったのは、将来のリスクを大きく見積もっているからだ。614億円のうち、418億円は「フォワードルッキング」と呼ばれる新しい基準の貸倒引当金だ。景気のよかった直近の低い倒産実績を基に引き当てるのではなく、将来、景気後退が起きた際にどの程度倒産が発生するかを織り込んだ「予防的」な引き当てのことだ。つまりふくおかFGは、これから倒産がまだまだ増えるとみている。

確かに現時点では、国を挙げての「異次元融資」によって、コロナショックのダメージの割に倒産件数は多くない。そのため冒頭のように、地銀幹部が与信費用の額をいぶかるのも無理のない話だ。だがそれはあくまでも現時点での話。金融関係者たちは、そう遠くない将来、ふくおかFGの想定が現実のものになる可能性もあるとみているのだ。