コロナ禍で客足が遠のいた商店街。地域経済を金融機関がどこまで支えられるか(撮影:今井康一)

「資金繰りはどうなっている?」。東京・目黒区の老舗中華料理店「香港園」に第一勧業信用組合(本店・新宿区)の新田信行会長(当時理事長)がやってきたのは3月末のことだった。差し入れのお菓子とマスク、見舞金1万円を王孝安社長に手渡し、こう告げた。「資金は第一勧信が何とかする。心配なことは何でも相談して」。

売り上げの7割を夜の宴会が占める香港園は、3〜4月に入っていた歓送迎会や謝恩会の予約は軒並みキャンセルとなり、資金繰りが一気に苦しくなった。そして4月7日には緊急事態宣言が発出され、やむなく休業するに至った。売り上げがゼロになる一方、人件費や賃料といった固定費の流出が続いた。「店を畳もうかと何度も考えた。でも、何十年も働いてくれている従業員を見捨てるわけにはいかないし、第一勧信さんが全力で応援してくれたので、どうにか踏みとどまれた」(王社長)。

営業を再開した5月28日の夜、新田会長や目黒支店の職員ら十数人が店を訪れ、祝杯を挙げた。「銀行にはない温かみが、第一勧信にはある」。王社長はそう語る。

株式会社として株主の利益を念頭に置く銀行と違い、地域の中小・零細企業支援を使命とする信用組合や信用金庫が、コロナ禍でその存在感を示している。