週刊東洋経済 2020年7/11号
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プロローグ|銀行の企業救済でくすぶる時限爆弾

「50万円でいいから貸してもらえないでしょうか。このままでは潰れてしまいます。とにかく助けてください」

今年5月上旬、東日本のある大手地方銀行の支店に設けられた「新型コロナ対応融資相談窓口」では、支店の近くの駅前で小さなスナックを経営しているという40代の男性が懇願していた。話を聞けば、緊急事態宣言で営業できない一方、家賃と人件費は発生し、手元の運転資金があっという間に底を突いてしまったという。

男性が普段使っている金融機関は地元の信用金庫。それに対してこの日訪れた地銀は、全国でも十指に入る大手のため、店舗の前を通り過ぎるくらいだった。しかし今回ばかりは、なりふり構わずあらゆる金融機関を訪れ、可能な限りの融資を申し込んでいたのだ。

出てきた職員は真剣な表情で耳を傾けてくれた。そのうえで、「生活資金は貸せませんが、事業資金なら融資できます。書類も準備できるだけで結構です。ただ実態を見たいので、店に一緒に行ってもいいですか」と告げたという。「地元の“大銀行様”だからてっきり門前払いかと思いきや、真摯に、そして迅速に対応してくれた」と、男性は顔をほころばせた。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言により、経済活動がストップ。飲食店をはじめ、十分な運転資金を確保していない事業者たちは苦しい立場に追い込まれ“金策”に走った。

国は資金繰り支援策を打ち出したが、資金を手にするまでには時間を要し間に合わない。そんな事業者たちが頼ったのが銀行だった。

雨の日でも傘を貸す

「晴れになったら傘を貸し、雨が降ったら取り上げる」