新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で発言する加藤勝信厚生労働相(前列左)(毎日新聞社/アフロ)

緊急事態宣言が解除されてから1カ月強が経った。厳しい外出制限を日本より早く解除した中国・韓国では首都で新しく感染者が増えており、欧米では多数の新規感染者が出続けている。日本では、とくに東京などの大都市でくすぶるように感染者が毎日計数十名出ているという状況が続く。

振り返れば、新型コロナウイルスの感染拡大は急激であった。2月のクルーズ船での感染爆発が国内での病床逼迫を招き、3月には欧米で感染爆発が起き、これらの地域からの渡航者によって日本も3月後半には感染爆発一歩手前ともいうべき事態となった。

この間、感染封じ込めの前面にせり出したのは政治である。未知の感染症であり、事前の準備には限界がある。感染急拡大の局面では、ロックダウン(都市封鎖)など峻厳な決断をぎりぎりのタイミングで下さなければならなかった。その瞬間が、あれよあれよという間にやってきた。

おおむね、感染症専門家の判断を見て、政治が素早く国民に語りかけて協力を求めるという流れであった。科学的知見が判断の根拠であるが、その前提は科学の中立的分析でなければならない。権力から独立した判断を権力が受け止め、経済などほかの要因を見極めたのである。政治と科学という枠組みが、どの国でも特徴的であった。

だが、感染が落ち着いた日本ではここにきて、政治と科学の間に行政という制度的枠組みがせり出してくる。1つには、経済や教育など、感染症対策とは異なる分野が動き出すからである。給付措置を含めて経済産業省の役割が問われている。学校教育でどう児童・生徒の健康を守り、遅れた学習進度をどう回復するか、入試をどうするかという問題になると、文部科学省の存在感が出てくる。