日産の内田誠社長は「資本調達ができた」と言ったが、その裏では銀行団が融資を押し付け合っていた(撮影:梅谷秀司)
週刊東洋経済 2020年7/11号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「不良債権処理を進めた時代に大口融資先の整理や企業再建に携わった経験のある行員をかき集めろ」

三井住友銀行は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出される中、行内でそう号令をかけた。

1990年代、バブル崩壊が日本経済を直撃。不良債権が膨らんで金融システム不安に発展し、「失われた20年」に突入した。

その過程で銀行が支えられなくなったダイエーやカネボウ、大京といった大企業が相次いで破綻した。産業再生機構が設立され、その支援の下で企業再建を進めた歴史がある。しかしそれから20年以上が経過、不良債権処理などを経験した行員の多くはすでに銀行を去っている。にもかかわらず、改めてその頃を知る人材を集めろと言っているのだ。

その理由について、三井住友の関係者は、「多くの企業は国を挙げての資金繰り支援で一息ついているかのように見える。しかし需要はコロナ前の水準までは戻らず、今後も苦しい状況が続くと予想されるため」と指摘する。

そのうえで、「コロナ前から問題を抱えていた企業も少なくなく、コロナ禍の長期化で持ちこたえられなくなる企業が増えてくる。その結果、大口融資先問題が再来するのではないかと危機感を抱いている」(メガバンク幹部)というのだ。

三井住友は、経験者を集めたうえで企業再生チームを設置。今のうちから知識やノウハウを共有し、来るべき日に備えている。

日産を押し付け合う2行