大型ビルのワンフロアに多くの従業員を集約する流れは終わるのか(撮影:尾形文繁)
週刊東洋経済 2020年7/4号
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オフィス市況は今年3月まで空前の好況だった。不動産サービス大手CBREによれば、3月の都内のオフィスビル空室率はわずか0.9%。一般的に5%が好不況の境目といわれる中、ほぼフル稼働の状態だ。

企業は好調な業績を背景にオフィス投資を拡大した。分散していた拠点を統合・集約したほか、働き方改革でシェアオフィスの利用も増えた。さらに人手不足を補うための採用強化で、従業員を引きつけられる都心の高級ビルのニーズが高まった。

その顕著な例が成長力の著しいIT企業だ。セールスフォースは2021年、現在のJPタワー(東京・丸の内)から日本生命丸の内ガーデンタワーへ本社を移転させる。移転先の坪数は推定9000坪超。現状比3倍だ。従業員数も約1500人規模から24年までに約3500人へ増える。IT企業の増床ニーズがオフィス需要を牽引し、都心のオフィスビルは瞬く間にのみ込まれていった。

「近・新・大」。駅から近く、新しく、1フロア当たりの面積が大きいオフィスビルが主流になった。下図に示すように、森ビルの調査では、20年以降の新築オフィスビルの大半が、延べ床面積10万平方メートル以上で、かつ都心3区(千代田・中央・港区)に立地する。

こうしたオフィスビルの常識がコロナショックで変わった。

空室増は秋口からか