週刊東洋経済 2020年7/4号
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東京アラートも解除され、人通りが戻りつつある東京・銀座。そんな中、まばらにしか人が入っていない商業ビルがある。一等地の銀座1丁目で、中央通りに面して立つ「キラリトギンザ」だ。

ダイヤモンドのブリリアントカットをイメージした建物のキラリトギンザは銀座の一等地に立つ

エスカレーターで2階に上がると広い空きスペース。かつてジュエリー店が並んでいた空間だ。6階の着物店は看板だけで、中はもぬけの殻。飲食店が入っていた7階はシャッターが下りている。

最近撤退を決めたイタリアンレストラン「トラットリア・デル・パチョッコーネ銀座」を営業していたクオルスの高波利幸社長は、「こんなことになるとは。完全に想定外だった」と肩を落とす。何が想定外の事態を招いたのか。

パチョッコーネ銀座は、2014年秋、キラリトギンザの開業と同時にオープンした。高額な家賃にもかかわらず高波氏が入居を決めたのは、リーシング(テナント誘致)の際に提示されたビルの集客力から試算した売り上げに期待が持てたからだ。当時のリーシング資料には「銀座中央通りに残された最後の大規模開発」という威勢のよい文句が並ぶ。

ところが、オープンしてすぐに客の入りが想定を大きく下回ることが発覚した。高波氏はリーシングした管理会社に「聞いていた内容と随分違う。賃料の減額を検討してもらえないか」と相談した。しかし、聞き入れられなかった。ほかの店舗からも「まずいビルに入ってしまったかもしれない」という焦りの声が漏れ始めた15年夏、青天の霹靂(へきれき)が起きた。オーナーだったオリックスがキラリトギンザを売却したのだ。

オーナーの姿が見えない