週刊東洋経済 2020年7/4号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

コロナに翻弄される不動産
今後の市況はどうなるか

「長期戦を覚悟している」。三井不動産の菰田正信社長は5月13日の決算説明会で厳しい見通しを語った。今2021年3月期、同社の営業利益は前期比28%減に沈む見込みだ。運営するホテルの稼働率低下や、商業施設の賃料減免が足を引っ張る。

新型コロナウイルスの感染拡大は不動産業界にも激震をもたらした。影響が顕在化し始めた2月、まず海外投資家が取引を見合わせるようになった。3月に入ると都市部の商業施設やホテルといった日銭商売のアセット(資産)で稼働率が急落。テナントやホテル運営者から賃料減免要請が殺到した。

そして緊急事態宣言が発令された4月、不動産市場はいよいよ凍結状態に陥った。投資家向けに収益物件を売買するヒューリックは、「外出自粛の影響で、内見やデューデリジェンス(資産査定)が進まなくなった」という。オフィステナントにも退去や縮小移転の動きが現れ、不動産各社は一斉に市況悪化に身構えた。

それから2カ月。緊急事態宣言が解かれ、街中に客足が戻り始めると、不動産業界に漂っていた悲壮感は幾分和らいだ。取引も順次再開し、「一部取引で遅延があるものの、一気に投資家が手を引くというドラスティックな動きにはなっていない」(日本不動産研究所の吉野薫主任研究員)。

不動産市況の先行きが明るいとは決していえない。かといって暴落するという懸念も聞こえてこない。奇妙な「なぎ」を読み解くカギは、リーマンショック時とは異なる金融環境にある。

「リーマン」再来はない?