北朝鮮は6月16日に開城市にある南北共同連絡事務所を破壊した(ロイター/アフロ)

北朝鮮は6月16日、古都・開城(ケソン)市にある南北共同連絡事務所を爆破し、今後も軍事面での後続措置を取ると発表した。連絡事務所は2018年の南北首脳会談の合意によって設置された、南北融和の象徴的な存在だった。

北朝鮮はなぜこのような強硬な措置を取ったのか。理由の1つは、現状を打開し、朝鮮半島情勢での主導権を握るという「実利」である。もう1つは自国のプライドを傷つけられたという「感情」面での鬱憤の解消だ。この2つは両極端のように見えるが、実はつながっている。

16日の連絡事務所爆破は、4日に北朝鮮の金与正(キムヨジョン)・朝鮮労働党第1副部長が発表した談話でクローズアップされた。これに先立つ5月31日、韓国の脱北者を中心とした市民団体が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長とその体制を批判する内容を記したビラを気球に載せて散布した。金与正氏の談話は、これに強く反発するものだった。

北朝鮮の体制を批判するビラは03年ごろから北朝鮮に向けて散布され続けてきた。米ドルや中国人民元の紙幣、コメが散布されたこともある。北朝鮮はそのたびに抗議を続けてきた。

14年には北朝鮮が気球目がけて発砲したこともあるが、今回ほど強硬な姿勢を示したことはなかった。それは、今回のビラが「人民を代表する最高尊厳=金委員長」を耐えがたいほど冒涜していると捉えているためだ。